2020/11/22 13:34


by Mika Hirasawa

長引くコロナ禍で人も組織も変化を求められ、精神的な不調を抱える方が増えてきています。こんな時には、例え逆境にあったとしてもありのままに物事を受け止め、しなやかに対応していけるよう、マインドフルな状態でいたいもの。今回は、そもそもマインドフルネスとは何か、マインドフルな状態を作り出すためにはどのようなやり方があるのか、ワークアウトを通じてどうやってマインドフルな状態を作り出すのかなどについてご紹介していきます。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、「今、ここ」に集中し、物事をあるがままに見られている状態のこと。逆に、マインドフルでない状態というのは、「心ここにあらず」の状態のことです。

私たちの心はなかなか「今」を「あるがまま」に見ることが難しく、つい未来のことを不安に思ったり、過去のことを後悔したり、目の前の欲にとらわれたりしてしまいます。この状態は「マインドワンダリング」と呼ばれており、一説によれば、脳は日常生活の約50%を、目の前のこと以外に費やしていると言われています。

マインドフルネスがもたらす効果とは?

元々、マインドフルネスのおおもとにあるのは、2500年前から続く仏教の考え方です。それを、アメリカ・マサチューセッツ大学の教授が現代社会においてストレスを低減できる方法として取り入れたことから、近年では、Googleをはじめとするシリコンバレーの企業でたくさん取り入れられるようになりました。

その他にも、人はマインドフルな状態になることで、心の面で以下効果が生まれると言われています。

  • 集中力の向上
  • 記憶力の向上
  • 共感性の向上
  • ストレス耐性の向上
  • 感情マネジメントの向上
  • 決断力の向上
  • 創造力の向上

マインドフルネスと脳との関係

では、なぜマインドフルネスを取り入れると、先ほどお伝えしたような心の面での効果が生まれるのでしょうか。その理由は、脳の構造にあります。

脳は、大きく分類すると、「大脳新皮質(人間脳)」と「大脳辺縁系(哺乳類脳)」「脳幹(爬虫類脳)」の3種類に分けられます。

大脳新皮質は、思考や判断といった、私たちがよりよく生きるための「知性」に関することを司っています。大脳辺縁系は、意欲や情緒といった、私たちの本能に近い、「感情」に関することを司っています。脳と脊髄を結ぶ脳幹は、「生命維持」に関することを司っています。

感情を操る大脳辺縁系の中でも特に私たちの感情を大きく左右するのが、「扁桃体」です。

扁桃体は好き・嫌いといった感情を司る神経群で、特に不安を感じた際には交感神経の活動を高め、ノルアドレナリンを分泌する機能を担っています。動物が本来持っている生きるために必要なエネルギーの元となる一方、機能しすぎると、ストレスに衝動的に反応したり、様々な生活習慣病になったりします。

このような脳の構造から、現代社会において脳をマインドフルな状態に保ち、扁桃体が機能しすぎないようにコントロールすることは、多少の変化や逆境に対しても動じずに、ストレス耐性を高めて強く生き抜く秘訣となります。

マインドフルな状態を作り出すための9つのやり方

では、脳をマインドフルな状態に保つにはどうしたら良いのでしょうか。マインドフルな状態を保つには色々な方法がありますが、ここでは、すぐに取り組める9つのやり方をご紹介します。

1. 自然の中で1日20分を過ごす

自宅にずっとこもりきりの状態では、どうしても気分がふさぎがちになるものです。自宅の近くにある公園や川など、自然を感じられる場所で時間を過ごすことは、ストレスを軽減するのに役立ちます。

「どうしても近くに自然を感じられる場所がない」という方は、窓から空を見る、遠くの景色をぼーっと眺めるなど、世界のあらゆる景色の美しさを感じるだけでも効果を感じることができるでしょう。

2. 定期的に瞑想する

先ほどお伝えしたように、脳は常に、日常生活の50%を目の前のこと以外に費やしています。1日たった5分でも瞑想に取り組むことは、雑念を払い、脳を静かな状態に保ち、「今、ここ」に立ち戻らせてくれるきっかけになります。

そうは言っても、今まで全く取り組んだことのない方は、どうやって瞑想したら良いかさえ分からないかもしれません。そんな方は、瞑想のレッスンに参加したり、瞑想をガイドしてくれるアプリや本を活用してみましょう。ガイドCDがついている「シンプルメディテーション―瞑想をこれから始める人の本」や、「本当の自分とつながる瞑想入門」などは、初めて瞑想する方でも簡単に取り組むことができるおすすめの書籍です。

3. SNSから距離を置く

在宅勤務でなかなか他の方と会う機会のない今、SNSは人と簡単につながることのできる素晴らしいツールです。一方で、「誰がどんなことを書いているのかな」「先日シェアしたあの写真、どれだけいいねがついたかな」など気にし始めることは、自らを不安な状態に追い込むことにもつながります。

可能であれば1週間に1時間だけでも、SNSに全く触れない時間をとってみてください。その後の1日は、今まで感じたことのないくらいバージョンアップされた素晴らしい時間になるでしょう。

4. 感謝の気持ちを持つ

感謝の気持ちを持つことは、人生においてポジティブな思考を増やしていくことにつながります。アメリカの大学のメンタルヘルスに関する研究では、研究の期間中に感謝状を書いていた対象者は、何も書かずにカウンセリングだけ受けていた対象者や、否定的な経験を書いていた対象者と比較して、メンタルヘルスが大幅に改善したとの研究結果もあります。

1日の始まりと終わりに5分時間をとって、感謝していることを3つ書き出してみましょう。

5. 人とつながる機会を作る

人と会う機会が減っている今、自ら人とつながる機会を作り出すことが非常に重要となっています。誰かとコミュニケーションをとったり、一緒に何かに取り組んだりすることで生まれる社会的な刺激は、脳のニューロンを活性化させます。

週末に家族とゆっくり話す時間をとる、気になっている人に連絡をとってみるなど、少し時間をかけて、機会を作り出しましょう。

6. 定期的にワークアウトする

定期的にワークアウトすることは体を健康にするだけでなく、脳からエンドルフィンを出し、幸せな心の状態を作ります。

ワークアウトし慣れていない方は、毎朝10分のラジオ体操や散歩、ストレッチなど軽い運動から取り組んでみましょう。

7. 新しいことに挑戦する

新しいことへの挑戦は脳を活性化させ、活力のある状態を作り出します。

今までに読んだことのない本を読んでみる、新しい食べ物に挑戦してみる、今までやったことのないものを習慣化してみる、今までよりも30分早く起きてみるなど、何か新しく挑戦できるものをみつけて取り組んでみましょう。

8. 他の誰かのために何かいいことをする

相手のためになることを考えたり、優しい気持ちを持って人と接したり、ボランティアをしたりすることは、ポジティブな思考を生み出し、心身の健康を高めると言われています。

忙しい日常生活の中でもあえて空いている日を作り、誰かのためになることをする時間を持ちましょう。その時間の前後で自分自身の気持ちがどのように変化しているかを、感じてみてください。

9. 睡眠

人は、人生の3分の1近くの時間を睡眠に費やしています。少しでも気分が落ち込んだり、燃え尽き症候群に陥りそうだと感じた時には、心と体を休めて回復する時間を作りましょう。成人にとって、完全に心と体を休めるために必要な平均睡眠時間は、約7〜8時間と言われています。

ワークアウトを通じてマインドフルネスを実感しよう

ここまでマインドフルな状態を作り出すための色々な方法をお伝えしてきましたが、その中でも、ワークアウトはマインドフルネスを実感いただける簡単な方法です。そこで今回は最後に、ワークアウトを通じてどのようにマインドフルネスな状態を作り出すことができるのかをご紹介していきたいと思います。

最初にお伝えしたように、マインドフルネスとは、「今、ここ」に注意を向け、あるがままにそれを受け入れている状態のことです。

ゆっくりとした動きやバランス、正確性などを大事にするラグリーフィットネスでは、常に集中力が求められます。「正しいスピードで体を動かせているか」「正しい体の角度になっているか」「自身の限界を超えるような可動域にチャレンジできているか」など一つ一つの動きに最大限の注意を払うことで、自然とマインドフルな状態を作り出すことができます。

また、ピラティスでは胸式呼吸を行いながらインナーマッスルを細かく動かしていくため、身体感覚が求められます。「じっとしている状態で自分の体に意識を向けるのは難しい」という方でも、動きながら自身の体の内側にある微細な感覚に集中することで、瞑想しているのと同じような感覚を作り出すことができます。

ストレッチにおいても、ゆったりとした呼吸をしながら自身の体にアクセスすることで自身の体の特徴や癖に気づき、「今、ここ」に立ち戻る機会となります。

日常的にワークアウトを行って脳をマインドフルな状態へとリセットすると、日々の生活においても、前向きに物事を捉えられるようになったり、少々のことではへこたれない心の強さを作り出し、ストレス耐性を高めることができます。

ワークアウトを通じてしなやかな心を手に入れ、変化の時代を生き抜いていきましょう!

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